2015年8月31日月曜日

北海道Road Tripの記録 Part 7

東日本ロード・トリップ
2015年8月31日(7日目)
北海道釧路郡釧路町達古武〜北海道名寄市風連町西町
走行515km
総合3180km
スバル インプレッサスポーツ 1.6i


5時半起床。相変わらず寒さも感じずに快適な車中泊ができて、これではテントを買ってまでキャンプなんてする必要はなかったのではないかと思ってしまうほどだ。まだ2人ともテントから顔を出さないので、私はついに待望のカセットコンロを使って焙じ茶をいれ、寒さを凌ぐことにした。キャンプと言えば自炊!と大量にカセットボンベ、レトルトカレー、ティーバッグなどを用意してきたのに、これまで使わずにいたのだ。ワクワクしながらコンロを点火して、暖まりながらお湯を沸かしていると、2人が起きてきた。2人とも寒そうにしているので、半ば無理やりお茶を勧めた。私も温かいお茶をゆっくり飲む。寒さの厳しい北海道の朝に、友人と温かいお茶を飲む。旅らしさ溢れる、素晴らしいひと時である。


2人との別れが惜しい私は、ギリギリまで同行するように計画を練り直し、結局のところ網走までを一緒に走ることに決めた。そうと決まれば、2人のテントが乾いて畳まれるまで待たなければならない。私は暇つぶしに2人の片付けを手伝ったり、インプレッサの撮影タイムをしたりして過ごす。ここでこの旅で最後となる、3人での記念撮影も済ませた。そして、2泊した達古武オートキャンプ場を後にする。今日から1人で旅を続けることになるから、旅の後半パートが始まるかのような新たな気分で出発した。


出発してすぐ、郵便車とすれ違う。「ここで郵便局員になったら、毎日が長距離ドライブかな」などと考えつつも、軽バンでは大変そうだとすぐに考えるのをやめた。昨日通った時は暗闇に包まれていたので全く景色が見えなかったが、この国道391号線と243号線は緑が深くて美しいことに気がついた。いや、これまでも綺麗な景色だったことは間違いないが、未だに感動と驚きの連続が続いているというわけである。この辺りの地域も、素晴らしい自然の中に牧場や畑が並んでいる。後日になって東京のスーパーで釧路産の牛乳が売っているのを見た時は、あの牧場のある景色を思い出しては、多少高い価格でも迷わずに買ってしまうほどだった。それくらいに気に入ったのだ。


しばらく走ると、次第に上り坂がきつくなってきた。美幌峠まであと少し。峠が近くなり木々が減ってくると、期待が高まる。秋田の寒風山も山頂付近に木々がないためにあの景色が見られたのだ。山頂に着くと間もなく、先ほど追い抜いた自衛隊の車両たちが追いついてきた。やはり北海道は何かと自衛隊を見かける。展望台へ行ってみると、美空ひばりの曲が大音量で茂みの方から聞こえてくる。失礼ながら、このダサさが日本らしいといえるか。振り返って屈斜路湖を見ると、これまた日本の景色とは思えないような、山と湖とワインディングロードの織りなす美しい景色が広がっている。似たような景色は本州にもあるかもしれないが、何と言ってもこちらは壮大だ。あまりの凄さに感動する余裕すらなかったような気がしている。


美幌峠を過ぎると、網走まではすぐの距離だ。途中、白樺の並木道や色とりどりの花が迎えてくれて、とても良い気分だった。きっと丁寧に手入れがされているのだろう。いよいよバイクの友人2人との分岐点、網走監獄に着いた。2人は網走監獄博物館を見学し、私は見学せずに先を進むことになっている。ここで何故か私が博物館入館料の割引券を発見して、2人を入り口まで見送る。一旦は別れたのだが、名残惜しくて話し続けていたからか、2人の荷物を私のインプレッサの中に預かったままなのを忘れていたことに気がついて、すぐにまた2人と再会することに(笑)。そして今度は駐車場で2人に見送られながら、私はインプレッサに乗り1人で網走監獄を出発した。北海道ツーリング後半のスタートである。


東京から北海道までの1000km以上を1人で既に走ってきているのに、再び寂しさを感じずにはいられない。インプレッサと音楽だけが頼りだ。北見市内、国道39号線から国道333号線へ入ってすぐのところに、「こもれび道路」と美しい並木道があるのを見つけて引き返してみると、私好みの木々が沢山並んでいて急遽撮影タイムにした。山と木と田んぼが独特の風景を生み出しており、工事用車両が何度か通過していたのが雰囲気を壊して少し残念だったが、ネット上で検索しても殆どヒットしないマイナーな場所のようで、得した気分になれた。それにしても、インプレッサは泥だらけだ。綺麗にしてあげようと昨日も洗車できる場所を探したが、この汚れも長旅をしてきた証だと思うと、なかなか感慨深くもある。


国道333号線をひたすら西へ、旭川へ向かって走る。この辺りになると、時折東へ向かう車はあっても、私と同様に西へ向かう車はほぼ皆無に近く、自分のペースで快調に飛ばしていた。明らかに天候が不安定で、晴れたり曇ったりを繰り返しているうちに突如大雨が降り出した。セイコーマートを見つけたのでおにぎりを買うために入ると、地元の方々が大雨の様子に驚いて話し込んでいた。ここまで酷い大雨は珍しいようだ。旭川紋別自動車道に入ると、大雨とそうでない場所の境目が頻繁に見られて面白かった。直前には大雨が降っていたのに、ある見えないラインを越えた途端に雨は止んで道路も乾いている。東京を走っていればまずこのような状況には遭遇することはないだろう。


国道39号線に復帰し、旭川駅前を通過する。旭川駅は新幹線のターミナル駅のように立派な建物だった。この付近は久しぶりに都市にやってきたという感覚になる。旭川駅を通過し、私はそのまま富良野方面へ進んでいく。明日には宗谷岬到達を目標としているのにも関わらず、南へ下るのは何故かというと、どうしても「青い池」を見ておきたかったからである。美瑛にあるこの池は、iPhoneを始めとするApple製品の純正の壁紙に採用されて世界中で有名になったもので、あの壁紙を好んで使用していた私としては、近くまで来たのだから寄らずにはいられないというわけだ。ただ、単純に北を目標としているのに南へ向かうのは時間のロスになる。また、旭川駅を通過した時点で既に15時を過ぎており、少し急がないと青い池を見るのが夕方になってしまう恐れもあって、休憩をせずに美瑛を目指した。旭川から少し南へ行くと、周囲に山がなく穏やかな田園風景が広がっていて、この辺りでも美しい景色を楽しめた。美瑛町に入る頃には16時を回っており、さすがにこれから青い池に向かう観光客は少ないようで、すれ違うレンタカーの数が多くなってきた。それにしても北海道はすれ違う車のレンタカー率が高く、現行型のヴィッツやフィット、カローラなどのコンパクトカーはまずレンタカーだと思って間違いない。少しずつ日が暮れ始め、曇ると暗さを感じることも増えてきた。急がなくてはならない。青い池に向かう道道966号線は、往復とも流れに乗るともの凄いスピードになっていて、下手をすれば北海道のど真ん中で免停になるレベルだった。


青い池の駐車場につくと、何処も彼処も「わ」ナンバー、そこはレンタカーの展示場と化していた。考えてみれば、こうして北海道でどのガイドブックに載っているような観光地らしい観光地を訪れたのは初めてかもしれない。時刻は16時半、急いで池のところへ向かう。初めて見る青い池は、何だか入浴剤を入れたような、かといって不自然でもない独特の色をしていた。横にいた見知らぬ観光客同士の話では、この時期はあまり綺麗ではないとか。通のフリをするのはいいが、初めて見て感動している人達の周りでその解説は止めましょうね。青い水よりも不自然に感じたのは、池の中央部に木が集中して生えていて、その上それらが全部枯れていたことだ。何の下調べもせずに来たので、考えても答えにたどり着けることはないが、とりあえず池の周りの白樺も綺麗だったので、それを見ながら進むことにする。さすがに大陸に近い有名観光地だけあって、日本語より中国語の方をよく耳にする。池の端まで来ると、驚きの光景が広がっていた。池の水が、整備された斜面を下ってすぐ横の川に流れ込んでいる。この青い水は川に流れても大丈夫なのだろうか。そんなことより、結構しっかりと整備されてしまっているなぁと、少し冷めた気分になった。手が入っているのが明らかに見える自然はあまり好きではないのだ。この神秘的な池の裏の様子は知らない方がいい。インプレッサのところまで戻り、遅くなった昼食をとることに。写真は食べかけで恐縮だが、途中のセイコーマートで唯一残っていた辛めの焼き肉弁当。相変わらず美味しくて、つくづくセイコーマートの食品はハズレがないと思った。


出発はギリギリ17時になってしまった。今日寄りたかった青い池は無事に見られたので、後は明日の宗谷岬到達のために、可能な限り北上する必要があった。地図と時間を確かめ、士別を今日のゴール地点候補と定めた。とりあえず士別まで行ってみよう。北海道の真ん中で1人で過ごす夕方というのは、とても寂しさをかき立てる。キャンピングカーのように、明らかに私と同じように旅をしている人がいると少し心強くなるが、すぐに進行方向が逸れて孤独の時間がやってくる。この時になると、見慣れたセイコーマートが見えてくると安心するほどになっていた。何かあれば、セイコーマートに頼ればいいのだ。西の方を見ると、壮大な夕暮れの景色が広がっていた。こんな景色は見たことがない。ここで狙ってもいないのに、かけっぱなしにしていた音楽のリストがちょうどヴィターリのシャコンヌになって、何とも言えない気分になった。私はとんでもない旅をしている。この時の気分は忘れられない。


こんなところに線路があるとは思っていなかったので、前方から富良野線の車両が向かってきた時は驚いた。遠くにちょこんと見える1両編成のこの車両はとても可愛くて和ませてくれる。車内はそこそこ混んでいたが、鉄道で北海道を移動するのは大変だろうと思うばかりであった。

旭川の都市部に戻ってくると、この旅最大の、いや運転免許をとってから最大のミスを起こしてしまう。長い間、車が少なく速度の出る信号のない道ばかりを走っていたので、速度感覚が麻痺し、信号が変わるタイミングを誤り、対向車線の右折車両に突っ込みそうになってしまったのだ。こちらが停車するものと思い込み、こちらを見ずに発進し始めていた(顔が完全に横を見ていた)対向車にも少しばかり非はあると思うが、最も危険なのは私の方である。急ブレーキを踏んで停止できたので大事には至らなかったが、完全に私のミスであり、反省している。ここから先は、しばらく何故私が事故を起こしかけたのか考えていた。今日中にできるだけ北上したいという焦りも良くなかっただろう。今までの経験上、最も事故の可能性を高めるのは焦りだと思っている。今回事故にならなかったのは、事故の発生率が高いいわゆる「右直事故」に日頃から注意して、右折車線先頭の車とアイコンタクトを取ろうと心がけてきたことで、相手がこちらを見ずに動き出そうとしていたのが即座にわかり急ブレーキを踏むことができたからだと判断したが、いずれにせよ黄信号を目前にしてすぐに減速できなかった私に非がある。


「道の駅とうま」で小休憩。今日は士別市にある「士別市グリーンスポーツ施設キャンプ場」で車中泊しようと考えた。しかし、地図を確認しナビを頼りに走っても、そのキャンプ場が見つからない。キャンプ場が併設された施設の看板を見つけて右折したのはいいが、駐車場らしき広場についても、街灯がなくなり何があるのかさっぱりわからない。道を間違えたのかすらわからないので、仕方なく次の候補である「つくも水郷公園」のキャンプ場へ向かうことに決めた。大きな公園なので、そこそこ安全だろうとの判断からだ。予定通り20時に公園に到着、キャンプ場を探す。しかし、この街灯すらない真っ暗な公園はやけに不穏な空気がする。そう思っていると、案の定というべきか、暗闇の園内通路の真ん中で、若者達が集まってしゃがみ込んでいるではないか。ヘッドライトに照らされた彼らは、避ける様子もなくこちらを黙って見ている。仕方なく車の私が避けたが、この若者達は真っ暗な道の真ん中で何をしているのだろうか。あまり治安が良さそうでなく少々不安になりながらも、キャンプ場を発見できたのでとりあえず行ってみると、他にキャンピングカーが数台停まっていたので、これなら大丈夫だろうと車中泊の支度をし始めて、驚いた。ここは虫が多すぎる。ドアを開けて車内灯が点灯した途端、車内は飛びまわる虫だらけになってしまった。我慢の限界に達した私は、全て虫を追い払って急いで車に乗り込み、すぐに公園から脱出した。


ここで、一旦予定を白紙に戻して考え直すことにした。気分が良くないので、士別での宿泊は諦め、もう少し進めないかと思い地図を見ると、20km先の名寄市に市街地がある。調べてみるとキャンプ場はあまり良さそうな場所がないので、良い所が見つからなかった場合は「道の駅なよろ」で車中泊するしかないとの判断に至った。しかし、温泉だけは士別市に良さそうなところがあったので、先に寄ってみることにする。人のいない市街地を走り、「美し乃湯温泉」についた。料金を払ってフロントで手続きをすると、丁寧に応対してくれて一安心。何だか久しぶりに人と話したような気分だ。浴場は時間も遅いので人がまばらだったが結構広い。露天風呂を見つけて行ってみると貸切り状態だった。この露天風呂に限って、クラシックのような優しい音楽がBGMとして流れていて、疲れきっていた私にはこれが凄く染み渡るように癒された。露天風呂とはいえ外の景色は見えず空が見えるだけなのに、やけに気に入ってしまい、割と長い時間そこにいた。何分経っただろうか、あまり長くいるとこの先が遅くなってしまうので終わりにした。売店やベッドのようなソファなど休むのにもってこいの設備が沢山あったが、まだ今日は終わっていないので気を引き締めて、温泉を後にする。ここから先は名寄まで20km、左右に何もない暗闇の中を走っていった。

22時を過ぎ「道の駅なよろ」に着いて様子を見ると、車中泊するのに問題なさそうだったので、今日のゴール地点とした。まだ夕食を食べていなかった上、途中にセイコーマートが見つからず調達できなかったため、非常用に用意しておいたカップラーメンを食べることにした。しかし、何台か停まっている他の車は既に寝ているのか静寂に包まれており、暗い道の駅で1人でカップラーメンを食べるのは、寂しすぎるのにも程があるというレベルだ。1人でいることがこれほどまでに寂しいと思うのは初めてである。たまらず、iPhoneでTop Gearを見ながら食べることにした。私はあまり旅行先での食に拘らないとはいえ、友人と一緒にいた昨夜までの食事とは大違いである。支度を終え、就寝できる頃には23時を回っていた。予期せずして今日はもの凄く密度の濃い一日になってしまったが、一生忘れることはないだろう。


<目次>
08/25 東日本Road Trip Part 1 東京〜酒田
08/26 東日本Road Trip Part 2 酒田〜大間
08/27 東日本Road Trip Part 3 大間〜日高
08/28 東日本Road Trip Part 4 日高〜士幌
08/29 東日本Road Trip Part 5 士幌〜釧路
08/30 東日本Road Trip Part 6 釧路〜納沙布・羅臼〜釧路
08/31 東日本Road Trip Part 7 釧路〜名寄
09/01 東日本Road Trip Part 8 名寄〜宗谷〜余市(前編)
09/01 東日本Road Trip Part 8 名寄〜宗谷〜余市(中編)
09/01 東日本Road Trip Part 8 名寄〜宗谷〜余市(後編)
09/02 東日本Road Trip Part 9 余市〜奥州(前編)
09/02 東日本Road Trip Part 9 余市〜奥州(後編)
09/03 東日本Road Trip Part 10 奥州〜東京
東日本Road Tripの記録 番外編

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