2015年9月1日(8日目)
北海道名寄市風連町西町〜北海道余市郡余市町黒川町
走行642km
総合3822km
スバル インプレッサスポーツ 1.6i
6時半起床。さすがに昨夜までの疲労は明らかで、寝袋に入ってすぐに眠りに入ったようで記憶がない。目覚めるのも比較的遅めになってしまった。体調は悪くないと思いたいが、ほんの少し喉の痛みというほどではないまでも違和感を感じて水分を多めに摂っておく。周囲の車も殆どが車中泊目的だったようで、朝になっても顔ぶれに変化はあまりなかったので安心した。道の駅の周りは霧に包まれていて、なかなかに気分の良い朝を迎えられた。出発しようとしたところ、ランタン内の電池が液漏れしたことが発覚し出鼻をくじかれたが、概ね予定通りに宗谷岬を目指していけそうだ。そう、今日は待ちに待った日本最北端の地を目指して走るのである。
出発してすぐ、青看板には既に「稚内」の文字がある。8時を過ぎても名寄周辺は霧が濃いままで、このような光景は今までなかったから新鮮な気分だ。霧が晴れると同時に天候も晴れてきた。昨日は不安定な天気が続いたが、今日は晴れの予報で良かった。天気も良くなったからか、昨夜までに感じた寂しさはどこかへ行ってしまった。何日か前にもあったような何もない道をひたすら走り続けていると、絵に描いたような森の中のワインディング・ロードとなり、この辺りはシシウドがやたらと目立って面白かった。稚内まで残り100kmを切り、久しぶりに現れたセイコーマートで、今日の昼食を買っておこう。食べるのは、宗谷岬に着くまでとっておくことにしたい。
浜頓別町を過ぎ、ここ数日すっかり黙ってばかりのナビを見ると、道が海沿いを走っていることと、宗谷岬が画面内に入るほど近づいてきたことが分かる。猿払村から先は、色とりどりの牧草ロールが見られることになる。これまた独特な景色だ。前車についていくようにのんびりと距離を重ねていると、ついに青看板に「宗谷岬」の文字が現れた。車窓には牧草ロールが転がっているくらいしか特徴がないので、すっかり穏やかな気分になっていたが、次第に期待は高まっていく。高まる気分と反するように、景色は本当に何もない草原ばかりになってきた。いつの間に快晴になった青空と、建物のない草原の緑のコントラストがとても清々しくて良い。信号もなく、速度感覚も距離感覚も麻痺する一方になってしまい、どれだけ走ってきたのか見当もつかない。海沿いに出ると、上は青空、左は緑に包まれたなだらかな山、そして右には青い海、と景色はより一層素晴らしくなってきた。北海道の景色はどこまで私にとっての「素晴らしい」のレベルを引き上げてくれるのだろうか。ただ海沿いを走るだけではなく、しばしば山の起伏に合わせるように道路もアップ・ダウンを繰り返して、決して飽きさせようとはしない。特に、緩やかな坂を上っていくとカーブにさしかかり、カーブを抜けていくうちに海が見えてきて、道路も直線に戻りながら下り坂になるという、ドライビングにこれ以上相応しい道はないのではないかと思ってしまうような素晴らしい道が続いた。おまけに交通量はほぼ皆無ときた。文で書くと臨場感がないが、ここは実際に走ってみないとその感動は味わえないだろう。それにしても、北海道の海はいつ見ても深い青だからか、いつも見る海と違う雰囲気を感じて、迂闊に近づいてはいけないような、妙な気分になる。
ついに、まもなく宗谷岬というところまでたどり着いた。気分はすっかり高揚している。宗谷岬到達の瞬間は動画に収めようと思い、カメラをセット。いざ!宗谷岬へ!
2015年9月1日、時刻は11時。北海道宗谷岬、日本の最北端に到達した。インプレッサを最北端の碑に近い駐車場に停め、徒歩で最北端を目指す。天気は願ってもいない快晴であった。そういえば、北海道に来て快晴になるのは今日が初めてかもしれない。碑の前に立つと、何とも言えぬ達成感を感じる。サハリンが見えることを確認したり、間宮林蔵の銅像を見たりして過ごしていると、近くにいた1人の中年女性が私に声をかけてきた。聞くと、お互いに記念写真を撮りませんかという提案だった。女性も1人でここに来ていたようなので、それはいいですね!と快く承諾して、代わる代わる碑の前で記念撮影をした。後になって思えば、何処から何に乗って来たのかなど色々話せばよかったと少し惜しくなったが、お互いに日本最北端に来た嬉しさからかニコニコしてとても良い時を過ごすことができた。あの時の女性がこのブログを見ることはないと思いますが、声をかけてくださってとても嬉しかったです。ありがとうございました!
写真がしっかり撮れていることを確認して女性とお別れした後、そういえばインプレッサとも記念写真を撮りたいなと思った。ここまで実に3000km以上の旅を共にしてきたインプレッサ。もうここまで来たのだから人目は気にしない!と、インプレッサを碑と絡めて撮りやすい位置に移動させ、カメラをセットして撮ってみたら案外上手く撮れた。やはり、こうでなくては。そして、メーターの走行距離と、宗谷岬にいることを示すナビやiPhoneの位置情報など、思いつくもの全てを記録に残した。その後は、宗谷岬を眺めながら、買っておいたお弁当を食べることにする。納沙布岬で食べて美味しかった、セイコーマートのチキン南蛮弁当だ。すっかりセイコーマートの虜になり、同じ弁当を求めるほどになってしまった。美味しいのだから仕方がない。食べている間も、続々とライダーや観光バスがやってくる。ただ、さすがに9月になったからか想像以上に人が少なく、9月に来て良かったと思う。
弁当を完食したところで、一旦宗谷岬を離れ、来た道を戻る。というのは、宗谷岬に着く直前に見かけた展望台が凄く良さそうだったので、行ってみることにしたのだ。期待した通り、名前があるのかわからないこの展望台からの眺めは、何と言うか、まるでテレタビーズの丘のような世界が広がっている。数えきれないほどの風車が連なる、一面が緑色に染まった丘。このような景色が日本にあるなんて、多くの日本人は知らないのではないだろうか。ここだけ日本ではないかのような景色に満足して、再び宗谷岬へ向かい、早くも二度目の日本最北端到達を果たす(笑)
再び宗谷岬を訪れ、今度は付近を散策してみる。カモメが何かを丸呑みする様子の一部始終を目撃してしまった。何だコレは。誰も記念撮影していないタイミングを見計らって、日本最北端の碑のさらに北側に行ってみる。ここが本当の最北端か。いや、その先の岩場も行けそうだが、危ないのでやめておこう。碑を眺めていると、今度はサイクリストらしき青年に声をかけられた。記念写真を撮ってほしいのだという。もちろん快く引き受けて、せっかくだからと構図まで相談して撮影。顔が写るのが恥ずかしいので、後ろ姿のポーズだけでいいんです...という。滅多にない機会なのだからと正面を向いて撮ることも勧めたが最後まで譲らず、面白い人だった。先ほどの女性と同様、この青年にも何処から来たのかと尋ねれば良かったと思う。彼は何と1人で、しかもロードバイクで来ていたのだから!なかなかのつわものではなかろうか。この青年もまた私のブログを見ることはきっとないだろうと思いますが、やはり話しかけて下さってありがとうございました。良い思い出になりました。
時刻は12時半、初回の最北端到達から実に1時間半が経過している。昨日まで友人2人との時間を優先したこともあって、今日と明日はかなりの距離を進まなければならないことを思い出した。名残惜しさを噛み締めながら、宗谷岬を後にした。またいつかここに来ることを願って。
(中編へ続く)
<目次>
08/25 東日本Road Trip Part 1 東京〜酒田
08/26 東日本Road Trip Part 2 酒田〜大間
08/27 東日本Road Trip Part 3 大間〜日高
08/28 東日本Road Trip Part 4 日高〜士幌
08/29 東日本Road Trip Part 5 士幌〜釧路
08/30 東日本Road Trip Part 6 釧路〜納沙布・羅臼〜釧路
08/31 東日本Road Trip Part 7 釧路〜名寄
09/01 東日本Road Trip Part 8 名寄〜宗谷〜余市(前編)
09/01 東日本Road Trip Part 8 名寄〜宗谷〜余市(中編)
09/01 東日本Road Trip Part 8 名寄〜宗谷〜余市(後編)
09/02 東日本Road Trip Part 9 余市〜奥州(前編)
09/02 東日本Road Trip Part 9 余市〜奥州(後編)
09/03 東日本Road Trip Part 10 奥州〜東京
東日本Road Tripの記録 番外編