車の免許を取得した4年ほど前、私はバイクに浮気しかけている時期があった。「BMWバイクが心を揺さぶると題したこの記事の時だ。あれからSR400やスーパーカブ等へも興味は注がれたが、結局バイクへの憧れ自体が薄まり、車一筋を貫くと決めた。友人がバイクで北海道ツーリングへ行く時にも私はインプレッサで登場し、他に類を見ない四輪と二輪の混合ツーリングを実現。頑にバイクには乗ろうとしなかった。
しかし、転機とは突然訪れるものである。昨年11月に来春からスーパーカブに乗ることが決まり、そのためにバイクの免許が必要となった。折角だから普通二輪MTを取得しても良いところだが、ちょうど「準中型」免許の新設間際ということもあって教習所は大混雑しており、普通二輪の教習時限数では春までに間に合わない可能性が高いこと、バイクへの情熱は当時ほど高くないことを踏まえて、最短でスーパーカブに乗れるようになる「小型二輪AT限定」を選択した。もっと早い時期から教習を始めていれば普通二輪も可能だっただろうが、如何せん車と違って趣味として積極的に乗りたいとは思えないために先延ばしになっていた事情がある。今回の免許取得はあくまでスーパーカブのために過ぎない。
車ほどの熱はないとは言え、エンジンの付いた乗り物は何だって楽しい。4年振りの自動車教習所での出来事を、当時のように記録していきたいと思う。
初めて自ら運転するバイクは白のホンダ・リード125。この教習所には小型二輪AT用のバイクは一台しか無い(厳密には二台だが教官用である)ので、最後までこのリード125にお世話になる。よろしくね。
教官に「原付に乗ったことあるか」と訊かれ「ない」と応えると、「今日はS字・クランクまで行くからね」と言われて驚いた。小型二輪ATは教習時限数が少ないが、そこまで駆け足になるとは。
サイドスタンド、センタースタンドの扱いを教わり、早速跨がりエンジンスタート。セルモーターの音がせずにエンジンは静かにかかった。なんとアイドリングストップが付いているようだ。教官の後を追って三周くらいした後、確かにもうS字・クランクに入っていく。低速だと少しふらつくのが気になるがクリア。そしてさらに一本橋へ。初日で一本橋まで行くのか!と覚悟したが、一本橋も三回とも安定して通過。橋に乗った途端全神経を集中して真っ直ぐ先を見つめていれば大丈夫なようだ。
結局、何のミスもなく1時間を終えた。こう書くと普通に教習を終えたように見える。確かにそうなのだが、一度だけ意図せず加速させてしまい焦るなど、実際は重たい車体を扱う上で集中が途切れないように必死だった。車は父の運転を見ていたのである程度余裕すら感じられたが、さすがにバイクはそうはいかない。「バイクは車より手軽に乗れる乗り物」なんて考え方は間違いだと思ったし、颯爽と乗りこなす人々を尊敬するなぁと感じた一日であった。
また、予想していたがリード125は自転車の延長線上のような乗り物で、それほど楽しさを感じるものでもない。これはスーパーカブに期待がかかる。