2014年10月10日金曜日

BMW E46にE36の面影を探して - BMW 318i Touring

先日紹介した輸入車が多く用意されているカーシェアリングの利用登録をして、どうしても乗りたかったこの車に乗った。


ついに3シリーズE46に乗る時が来た。どこかでベストオブ3シリーズと言われていた、あのモデルだ。初めて運転した1シリーズE87は後期型で電動パワステを採用したばかりのモデルということもあってか、私が期待していたBMWのハンドリングではなかったので、今度のE46はE87より遥かに古い上に今は亡きE36の後継であるだけに、E36の面影を感じられるのではないかと期待していた。それに、いつまでも私の中での乗った印象がMINI>BMWなのも納得できないしね。


E46のいる駐車場に到着。最近は見かける数も減ってきたがまだまだ沢山走っている。ただし実車を間近でじっくり眺められるのは今回が初めてだ。シンプルなラインで構成されたE46のデザインは飽きることなくかっこいい。後ろから見るワゴンならではの眺めも、そこに実用車臭さは全くなく、何故かワゴンなのにかっこいい。


乗り込もうとドアを開けて驚いた。もの凄くガッチリとした堅さをもって、ぐっと開く。E87よりワンランク上の堅さを感じる。やはり3シリーズは違うのだな、と乗り込んでドアを閉めてさらに驚く。ドイツ車らしく、「ドン」と低い音で閉まるドアだ!E87やMINIとは比較にならない剛性感の高いドアである。「ドン」という音の他に何も余計な音はしない。感動して何度もドアを開け閉めしてしまう。


車内を見渡してみると、E87やMINIの時にも感じたものだが、「写真で見るよりずっとコンパクトなインテリアだな」と思う。この心地よい包まれ感はBMW共通なのだろうか。インテリアの質感は、好みもあるがE87よりずっと良い。本革の質感も最高である。ダッシュボード上にそびえる後付けの古くて大きなナビとダサいイルミネーションのオーディオプレーヤーが雰囲気をぶち壊していて残念だが、私の車ではないので目をつむろう。


キーを取り出し、エンジンをかける。意外と静かながら勢い良く始動したエンジンは、走行距離が10万キロを超えているが、振動も少なく安定してアイドリングしている。11万キロ走ったあのE36はとにかく振動が酷かったから、整備をきちんとしていればまだまだ乗れたんだよなぁ、としみじみ感じる。


非常にマニアックな話だが、E46にはE36の面影を容易に感じられる点がある。それは「電子音」だ。ウィンカーやギアをリバースにした時に音が鳴るが、E46はE36と同じ音である(年式で差はあるが)。早速試してみよう。まずウィンカーの音は後期型になって変わってしまったようで、E36とは違う音だった。リバースは...同じ!!優しい音で「ポーン」と鳴る。これだけで嬉しくなった。「あのE36と同じ」これだけでも私にとってE46の価値は高い。


走り出す前から大いに気を良くしてしまったが、BMWは走ってなんぼ。走り出さなくては、とステアリングを回して驚く。今まで乗ったどの車より重いステアリングである。E36のステアリングの重さも知ってはいるが、軽い操舵力で回るステアリングばかり触っていたから驚いてしまった。E87やMINIも重めではあるものの、遥かにE46の方が重い。そして何より油圧パワーステアリングのフィーリングが最高だ。これではっきりと言える。E87後期の電動パワステは(BMWにしては)フィーリングがよろしくない。


走っている間の雰囲気はE87に似ている。静粛性は同じくらいだろうが、エンジン音はE87の方がよく車内に入ってくる印象。加速も116と318のパワーの差がそのまま出ているようなイメージで、318の方が加速は良い。E87よりホイールベースが長い分、前後方向の揺れが少ない印象があるかな。


エンジン音そのものは、E36とE87の4気筒のどちらとも違う。言葉で表現しづらいので何とも言えないが、軽めで滑らかな音がする。E46は6気筒が素晴らしかった時代だが、4気筒も優しい音がするので好きだ。


ブレーキは踏みしろが少なく、少し踏み込んでからは踏力を強めていかなければならないタイプだ。止まるためにしっかり踏む必要があるので、某日産マーチのようにブレーキングでギクシャクすることは絶対にない。


5速ATはE87の6速ATとあまり変わらない印象。ステップトロニックの手動変速のタイムラグも同じくらいだろう。ここまで良いことづくしなのでMTを試したくなる。



E87だけでなくE46にも乗れたことで、BMWがどういう車か、大体把握することができたと思う。一言でBMWを表現するなら、「走りを求め、真面目に作られた長距離ドライブのための車」かな。E46の走りは質感が高く素晴らしい。初めて乗るのに、初めから慣れているかのような運転ができるので、運転しやすい車と言える。さすがは世界中の車が開発のベンチマークにするくらいの車だ。BMWは本当によくできた車で、どのような人がアウトバーンで200km/hで走っても何ら問題なく性能を発揮する車であり、とても中立的な、ニュートラルな車なのだ。


しかし実を言うと、E46の走りは完璧だが、MINIでBMWの走りを想像してしまったため、それがいけなかった。MINIのハンドリングと比較してしまえば、BMWのハンドリングが普通に感じるのも無理はないだろう。ハンドリングに気持ち良さはあるが、MINIほどの特徴的なものではない。そうはわかっていても、BMWのハンドリングに感動できなかったのは少々残念である。


しかしMINIの勝利かと言えば、そうではない。E46には、繊細なラインが織りなす端正なボディ(ずっと眺めていても飽きない)、シンプルで嫌味がなく使いやすいインテリア、剛性の高い車体からくる安定した走りがある。MINIには、何にも似ていない可愛いデザイン、ゴーカートのような走りがある。E46もMINIもそれぞれにしかない長所があって、性格も全然違う。E46とMINIならどちらを選ぶかと考えると凄く迷っていたが、あのドライブを撮影した動画や写真から思い出すうちに、E46から言葉にできない感覚のような何かを感じるようになった。E46に乗ることができて達成感のようなものも感じるし、E46が欲しいと思った。何よりあのBMWマークを見ながら運転するのは最高だ!


いまE46を買うならば、仕様はボディカラーが深いブルーかグリーンで、燃費は気にせずフィール重視の6気筒で、セダンかワゴンかは問わないかな。ワゴンはもれなくドイツ製なのでワゴンがいいかも。ナビは付けず、オーディオは純正のままにしてね。

最後に、今回撮影した車載動画と、文中に出てきた「音」、残りの写真を載せて終わりにしたい。動画は私なりに拘りをもって撮っているので、是非見てみてくださいな。








記念写真もバッチリ!