2014年4月4日金曜日

BMWとの再会 Part7 - BMW 116i

7. 初めてBMW1シリーズを運転して



折角の初BMWなので気分良くまとめたいところだが、実は初めて乗ったあの1シリーズの印象は「期待したほどではなかった」というのが正直なところである。ただこれは1シリーズそのものが悪かったとは言い切れず、幾つか理由がある。

1) 走行距離が14万kmに迫り、各所がくたびれている
これは確実だと思う。そもそも、新車登録からたった3年で13万km走行というのはあまりに酷使されすぎである。レンタカーなので、穏やかな人、乱暴な人など多様な性格の人が乗る。整備の頻度は高いが、コストを抑えるために予防する意味でのパーツ交換などはしていないのではないか。エンジンが度々ノッキングを起こしていたことがそれを顕著に示している。

高速走行時の安定感も、3万km走行のMINIが60km/hで既にビシッとしていたのに対し、今回の1シリーズは100km/hでもMINI程の安定性を感じることができなかった。

2) ボディ、内装のどちらとも汚れが酷い
BMWの性能に直接関係があるわけではないが、汚れは気分が下がってしまう。

白いボディは全体的に薄く黒ずんでおり、私が雑巾で軽く拭いたくらいでは落ちにくいレベルになっていた。ドアミラーには大きな擦り傷が。車内もダッシュボードは満遍なく埃が積もり、換気をしたくなったほどだ。前利用者のマクドナルドのレシートが小物入れに、運転席シート下にはポテトチップスの欠片が…この辺りはもう見なかったことにした。

汚れではないが、ステアリング上の神聖なるBMWエンブレムが凹んでいたのもかなり痛い。車内で何をすれば硬いプラスチックのエンブレムが凹むのか?ステアリングは常に視界に入るので気分が悪いことこの上なかった。

「他人の車に乗っている」という感覚が強く残ってしまい、心から楽しむことができなかった。


3) E36型3シリーズと比較してしまうこと
E36型3シリーズの人気は今だに高い。私もE36の318tiMスポーツでBMWを知り、今でも最も好きなモデルの一つである。運転したことはないが、助手席にいるだけでもその性能、質感、雰囲気の良さが感じられて素晴らしい車だった。そして、どの車に乗る時でもこのE36の記憶と比較してしまうのがいけない。今回の1シリーズはちょうど318tiの直系の孫にあたるということもあり、尚更細かく比較してしまうのだが、どうしてもE36を超えるものを見つけることが出来なかったのである。

車内はプラスチックの質感などに安っぽさが感じられた。ステアリングもE36より軽かった。エンジンは回してもE36ほどの盛り上がりに欠けていた。車外で聴くアイドリング時のエンジン音に至っては、あれはBMWではない!!

全体的にE36ほどの重厚感がなく、E36で感じたドイツ車の雰囲気がかなり薄くなっていた。ネットでBMWを所有している人の話を読んでいると、「昔のBMWの方が良かった」、「BMWは良くも悪くも日本車に近くなった」という内容の記事をよく見かけたが、その通りだったのかもしれない。E36の時はドアを開けるだけでもワクワクしたものだったが...ウィンカーレバーの堅さに感激したとか、色々と...




緊張の中たった12時間ほど乗っただけでは、その良さに気づけないのか?しかし、MINI ONEは6時間ほど夜中の一般道を走っただけで、東八道路を60km/hで走っただけで目から鱗が落ちた。MINIはBMWが作っているがBMWではなく、そのせいかE36よりも劣るとかそういうことが頭に浮かぶことはなかった。

同価格帯になる116iとMINIを比較することがネットでは多いが、今の私がこの二つから選ぶとすれば、悔しいがMINIを選んでしまうだろうと思う。今MINIのドライブ記録を読み返すと、今回よりもテンションが遥かに高くなっているではないか!



今回乗った1シリーズのデザインは同時代のBMWの中で一番好きだし、借りた時はいつまでも眺めていたかった。しかし乗ってみるとそれは期待したほどではなく、いや期待しすぎたのもあるかもしれない。前回「このBMWのキーが自分のものだったら、これ以上に嬉しいことはない...!!」と書いたが、その気持ちに偽りはない。しかし「期待通りBMW1シリーズ、これしかない!」となる結果を期待していたのだが、そうはならなかった。

私としては2014年一の残念な思い出になってしまったが、BMWはタイムズのくたびれた1シリーズでもそうでなくても他にも選択肢はあるし、気に入ったMINIも自宅近くにあって気軽に乗れるから、どのモデルが自分に一番合うのか気長に考えたりしながら、車趣味をさらに楽しんでいきたいと思う。



何年も待ち望んだ日、初めてBMWを運転した。感激のあまり瞬きをしなくても目が潤った。不満は残ったが、歴史に残る一日に数えられる。箱根ターンパイク、伊豆スカイラインを思う存分ドライブした。


<目次>
Part1 - BMWとの別れ
Part2 - 116iとの対面
Part3 - 箱根ターンパイクと伊豆スカイライン
Part4 - 熱海ビーチラインから新宿へ
Part5 - 外装解説
Part6 - 内装解説
Part7 - 初めてBMW1シリーズを運転して