私は小学生の頃、キックスクーターが大好きだった。「キックボード」や「キックスケーター」とも呼ばれるこの乗り物は、日本では普及していないが、折り畳み自転車とスケートボードを足して2で割ったようなもので、簡単な作りなのにスピードが出るので乗ってみると凄く楽しい。ドイツなどではキックスクーターは手軽な乗り物としてそこそこ普及しているようだが、日本では子供の乗り物として認知されているのか、大人が乗っている姿を見かけることはほぼない。実際、中学生以上になると私もクロスバイクにのめり込み、キックスクーターは乗らなくなってしまった。私のキックスクーターは倉庫の奥に眠ることとなってしまったが、「いつかまた乗りたい」と、処分することができずにいた。
キックスケーターに乗らなくなって15年あまりが経ち、ビーエムに乗る私は思いついた。
「キックスクーターをビーエムに積んで、旅行先で乗ればいいのでは?」
2020年12月の福島ツーリングでは、キックスクーターを倉庫から引っ張り出し、きれいにして持って行った。裏磐梯で五色沼を散策した後に乗ってみたのだが、楽しく便利に活用することができて大成功だった。
今まで私の長距離ツーリングは「A地点からB地点を目指し、日の出から日の入りまでひたすら走り続ける」というスタイルが多かった。ビーエムとともに冒険しているみたいで、これはこれで楽しいものだが、旅行として考えると、せっかく訪れた地域のことをほとんど見ないまま終わってしまうことになり、少しもったいない気がしていた。ここでキックスクーターの経験を踏まえて思いついたのは、「大人向けのキックスクーターを試してみて、うまくいけば旅行先の移動手段に活用したい」ということ。そうすれば、ビーエムを停めて、旅行先の空気をじっくり味わえるのではないか。
キックスケーターのことを色々調べた。15年前と違い、「電動キックスクーター」なるものが登場している。しかしこれは法規上、実質的には原付みたいなものであって、手軽に乗れるとは言い難い。ドイツでは既にシェアリング事業なんかもあるようだが...
「ドイツ」、「ドイツ」とキックスクーターについて調べていると、ドイツのことが印象に残る。そんな中見つけたのが、ドイツにある「HUDORA」というメーカーのキックスクーターだ。ここは大人も普通に乗れるような立派なキックスクーターを製造しており、日本でも購入できる。決めてはBMWのエンブレムと同じカラーリング。
さっそく、多摩川サイクリングロードでテストした。
右が私の初代キックスクーター、JD RAZORのMS130-B1(という型番と思われる)、左が今回購入したHUDORA Big wheel 205。
見た目はあまり変わらないが、乗ってみるとそこはやはり日本車とドイツ車の性能の差を感じた。HUDORAは車輪が大きくベアリングも上質なものを使っているようで滑走距離が長く、直後にJD RAZORに乗り換えると蹴っても蹴っても全然進まない。またハンドリングも、HUDORAはハンドルが暴れないようにするためか左右に舵を取ろうとすると少し重くなっており、直進方向にある程度落ち着くようになっている。JD RAZORはハンドルが軽く、暴れようと思えば暴れる。
ただ、HUDORAばかりを褒めるつもりはなく、JD RAZORもかなりよくできている。JD RAZORはHUDORAの半額。HUDORAと比べるとかなりコンパクトで軽いので持ち運びしやすく、このモデルは安いのにフロントサスペンションまでついていて、ハンドルに伝わる振動はHUDORAより少ない。
ビーエムにはHUDORAを積んでいくが、JD RAZORも捨て難く手元に置いておきたい、そんな結果となった。
次のゴールデンウィークには四国方面へ行く予定なので、しまなみ海道をこのHUDORAで走ってみたいと思う。しまなみ海道は、車だとあっという間に通り過ぎてしまうだろうからね。