2016年12月8日木曜日

メルセデスAMG A45は「大人」じゃない

ちょうど新宿に着いた時、カレコのステーションにメルセデスAMG A45があることを思い出した。「わ」ナンバーのAMGに10分当たり240円払うだけでAMG初体験というのは、先日メルセデスの世界に足を踏み入れたあの時よりも後ろめたさを感じるが、こんな機会は逃すわけにはいかないと乗ってみることにした。まだ配備されてから1年も経っていないので、今なら綺麗な状態で乗れるはずだからだ。ただ、さすがに「大学からの帰りに急遽乗って走り回る」というドライブはあまりにもAMGに対して失礼であり、そんな自分が許せなかったので、結局のところ余程気に入るのでない限り駐車場内を一周して終わらせることにした。

近頃はBMWのMスポーツのようにメルセデスもAMGを安売りし始めたので、このA45も外見は隣に置かれるA180スポーツと同じで普通だ。特別なオーラを感じるわけでもない。

車内に乗り込むとバケットタイプのシートがかなりの硬さを感じて少し不安になる。エンジンをかけると短いクランキングの後に「バウンッ!...バァァァァ」とかなり騒がしいマフラー音が地下駐車場に響き渡る。アイドリング中も吠え続けるのでこのままでは迷惑だと恐る恐る走り出すと、これまたかなりの足回りの硬さに全体がピョンピョン跳ねる。とりあえず電光石火のシフトチェンジを体感して、駐車場内を一周しただけでエンジンを切り、A45を降りた。

駐車場を一周しただけで評価するというのもAMGに失礼かもしれない。しかし、こんなに硬くてうるさく子供っぽい演出の車は私はメルセデスにもAMGにも求めていない。これはAクラスだ。ハッチバックだ。それなのに幾ら何でもスポーツカー過ぎる。MINIより跳ねるサスペンション、フェラーリみたいに大げさに吠えるマフラー、これで私は長距離を走りたいとは思わない。

全く気に入らなかった反面、これで良かったと思う自分がいる。もしこれでA45を気に入ってしまったら、それこそ取り返しがつかなくなる。大学生にして720万円するAMG A45を気に入り、それ以外の車に目もくれなくなるなんて、あまりに恐ろしい。私にとってのAMGのイメージは、通常のメルセデスでは物足りなさを感じる相応の地位にある人が、さらなる高級、快適性、そして速度を求めて選ばれるものだと思っている。このスポーツカーは、そういう意味で少々違う印象だ。

もし他のAMGもこんなガチガチの硬さだったらどうしよう。まだ乗ったことが無いBMWのMも同様かもしれない。大いに不安が残る結果となってしまった。せめて、もう少し優しい乗り心地であってほしい。これではとても友人や家族を乗せて旅行に行きたいとは思えない。

追記:後日、四ッ谷でやたら意図的にマフラーをバフバフ鳴らして思いっきり上下に跳ねながらこちらへ向かってくるA45がいて、あんなに面白がって子供っぽい運転をするAMG A45はどうせカレコのだろう、と思ったらまさかの当たりだった。通り過ぎた後に振り返ればカレコのステッカーが貼られ、私が乗ったものと同じ。客観的に見ても恥ずかしくなるような走り...残念ながらA45のイメージは下がる一方である。私は16インチタイヤでフラットな乗り心地のA180の方がずっと好きだ。