2016年10月10日月曜日

トヨタ・ウィッシュで2泊旅行

秋の三連休を使った山中湖旅行で友人のトヨタ・ウィッシュに乗ることができたので感想を。


このウィッシュは今から10年以上前に登場した初代モデルで、全体を見た限りでは初期型と思われる。グレードは1.8X、4速ATだろう。本来ならば興味の範疇にないはずのトヨタのミニバンなのに何故こんなに色々と知っているかと言えば、実は初代ウィッシュのデザインは結構好きだったのである。2代目プリウス等にも通じるシンプルでバランスのとれた優しいデザインは、最近のゴテゴテとしたラインと攻撃的な顔つきばかりのトヨタ車にはない魅力ではないか。

ミニバンの割に背が低くミニバンらしくないのも良い。登場当時は「ホンダ・ストリームの完全なパクリ」と自動車評論家の間では散々な評価がなされていたが(今見返しても「ここまで言う?」とまでに辛辣な評価ばかりで可哀想になる)、結果から言うと予想を覆してミニバンらしからぬとても良い走りをする車で、大ヒットした理由がよくわかった。

小学生の頃、旅行に行く際にトヨタレンタカーのカタログを見て「ウィッシュに乗りたい」と親に言ったことがあるくらいだから、まさかあれから10年を経て運転する機会がやってくるとは、面白いことになった。


走り出してまず気がつくのは、パワステが重いこと。現行型のヴィッツやノアなど最近乗ったトヨタ車はどれも軽すぎるハンドリングだったから、早速意表をつかれた。高速域になってもフワフワすることなく安定しており、路面状況が良ければ不安を感じること無く結構な速度で巡航できてしまう余裕をもっている。それに車内も静かだ。

今となっては懐かしい4速ATも、CVTに慣れた身には新鮮だ。上り坂でシフトダウンさせようと思うとかなりアクセルを踏む必要があったが、不満はなく、ちょっとだけE36のBMWを思い出した。あれも4速ATなのだ。

後部座席も乗ってみたが、揺れも少なく広くて快適の一言。運転席より広々としているのはミニバンらしさを感じさせるところだ。

不満だった点を強いて挙げるとすれば、カーブで視界の妨げとなる傾斜の緩いAピラーくらいだが、Aピラーが寝ていて視界を遮るケースはウィッシュに限らず大半の車がそうなのでとやかく言うつもりはない。

他にも色々書こうと思ったが、よく考えれば走りの全体としての印象が薄いことに気がつくものの、つまらないのかと言えばそんなこともない。いつものトヨタらしく、「これで十分」と安心して不満なく乗れる。この点がトヨタの一番の長所だと思う。


今回の旅行は大きなイベントが予定にあったわけではないが、UNOをしたりのんびりしたりとこういう旅行があってもいいじゃないかと思った。とは言えさすがに富士山周辺は殆ど回ったので、足を伸ばして清里の清泉寮に行ってみると、とても良い天気と景色で満足。美味しいハンバーガーや蕎麦なども堪能して、このままのんびりと終わるはず...

しかし。

ナビを使って長野県の佐久平駅と東京を一般道で結ぶと、国道299号線を通るように指示してくるが、これが大失敗だった。初めは快適なワインディング・ロードが続くので騙されてしまうが、その先は関東随一の「酷道」であった。普段ならば峠道は好きではないものの問題なく通過できるが、さすがに3連休の2泊旅行の最終日の夜に国道299号線は辛かった。離合不可能な狭い道幅、濃霧、見通しの利かない急カーブの連続、急勾配、道路脇の滝、群馬県。確実にこれは「酷道」としての条件をクリアしているはずだ。

後ろをピッタリ走るバイクの存在からくる緊張感、前を走るマツダが突然離合のために停車したことで咄嗟に急ブレーキをかけるなどするうちにあっという間に限界に達してしまい、休憩を挟みながら何とか抜けられる道を探したところ、下仁田方面に抜ける道を発見。長い直線のトンネルを通過する間に疲労は回復し、上信越道から関越道をノンストップで練馬ICまで駆け抜けるという、過去に類を見ない慌ただしい帰路となった。

正直、「もう運転したくない」と思ってしまったのはこれが初めてで、それくらい精神的に参るような道路だった。あまりのトラウマに当面の間は山道を走りたくないということと、長距離移動の際は基本的に高速道路を使うようにする。国道299号線もこのまま忘れてしまおうではないか。

しかし。

帰宅後、国道299号線について改めて調べてみると、「秩父に至る」と書いてある。もしや...と思ってGoogle Mapで見てみると、なんと東京と秩父を結ぶ主要な道路でもあることがわかり愕然とした。秩父は未だ車で行ったことの無い場所であり、ちょうどバーミリオンさんにこのルートを紹介したばかりだったのである。いずれ私もドライブで行こうと思っていたが、まさかその国道299号線を西から入ってきていたとは...

観光道路でもあり、酷道でもある。国道299号線、恐るべし。