2016年5月6日金曜日

Last Drive of BMW E87 116i (Part 1)

(追記:後日も乗る機会があったために今回は最後になりませんでしたが、最後のつもりで乗ったので内容はそのままにしておきます)

ゴールデンウィーク半ばの5月6日、116iに乗って富士山へドライブに。

下道オンリーで、御茶ノ水から甲州街道と道志みちを経由して山中湖まで走る、いつものドライブと大差ないルートではあるが、今回は私なりに目標を立ててみた。それは「一切ナビに頼らずに富士山へたどり着く」というものである。

運転免許を取る前は、自転車で東京から東西南北を駆け回り、自宅から見た主要な道路は全て覚えた。同様に車でも東京近辺の主要道路を早く覚えてしまいたいと思うのだが、この2年間、なかなか自転車の時のように道を覚えられず、一度通った道を振り返ることすら難しいほどに記憶に残らないルートばかりだった。

どうして道を覚えられないのだろうかと考えてみたところ、やはりナビに任せっきりなのが良くないのだろうと判断した。ナビに頼らないために予め地図を見て、主要道路の位置関係と、曲がる予定だがわかりにくい交差点の位置を確認した結果、ルートと通過する主要道路は目論見通り覚えることができた。きっと、ナビのない時代は誰もがこうしてドライブをしていたのだろう。最終的な結果を先に述べると、ナビなしのドライブとしては最も長い距離となる、御茶ノ水から山中湖までを無事に完走した。

ナビなしでドライブをした感想は、ナビがない方がスムーズに走れるというものだった。ナビは曲がる場所をその都度親切に教えてくれて便利だが、それが仇となる場合がある。ナビの「1km先、左方向です」、「400m先、左方向です」、「まもなく、左方向です」、「10km以上先、右方向です」という音声案内だけに頼っていると、今走っている道路の名称、曲がる交差点の目印、向いている方角等、全く意識せずに済んでしまうからだ。また、走るべき道や方向が明確にはわからないので、音声案内を聞き逃したり、忘れてしまったりすると混乱する。実際にナビと私が上手く噛み合ずに通過してしまうなど、困ったことは幾度となくある。

道を覚えていれば、あとは青看板を目安にすれば良い。例えば、以下のように。

今私は甲州街道に乗っていて、八王子方面に向かっており、進行方向に「八王子」と書いてある。
左右には「三鷹」、「調布」と書いてあり、まだまだ直進で良さそうだ。ちょうど小金井街道とすれ違ったから今はこの辺りだろう。
もうすぐ甲州街道は左折するはずだから気をつけておこう。
日野バイパスは自転車で走ったなぁ。
甲州街道と国道16号の交点で左折するのでもうすぐだ。
国道413号に乗っていけばいいので左折だな。

といった具合だ。こうすれば、自分の走るべき道や方角がわかっているのでスムーズに走れる上、青看板や道路状況により深く注意するので運転に集中できる。



さて、今回乗る116iはタイムズカープラスに唯一残るBMWであり、まもなく引退する予感がするので早めに乗っておきたいとの思いから、混雑するゴールデンウィークでも乗ろうと決意した経緯がある。

「恐らくこのE87の1シリーズ自体、これで乗り納めとなるだろう」、そう考えて当日を迎えた。

ボディーからにじみ出る、重厚感ある雰囲気は毎度私を唸らせる。横に停まっているアクアやノートとは次元が違う。サイドにある一本の太いラインと、その周囲に浮かび上がる影を見ていると溜め息が出る。あまりの格好良さから一日中眺めていたいくらいに気に入っているのだが、この車は最後まで私の車にはなれない運命なのだ。そして「赤い車」は恐らく私にとって絶対条件になるだろう。何度か書いている気もするが、ソリッドカラーの赤がもたらす躍動感と、それを見た時に高揚する気分はとにかく捨て難い。

富津岬へのドライブから3ヶ月振りに会うこの116iは、左フロントドアの凹みがそのままになって補修されない様子を見ると、改めて先は長くないのだろうと思わざるを得ない。懸案だったエンジンをかけると、過去のどのドライブよりもスムーズかつ静かに始動して安心した。アイドリングは安定しており、オドメーターは14万キロ。ちなみに今回は最後までエンストするトラブルも発生せず、調子は抜群であった。


ナビには絶対に頼らないと誓っているので、目的地は入力せず画面をオフにして、出発する。靖国通りを抜け、市ヶ谷駅を過ぎた先で左折し甲州街道に乗る。甲州街道に乗ってしまえば、あとは甲州街道が日野方面へ左折・分岐するところまではスムーズだ。日野バイパスを進み、国道16号線との交点を左折すれば、国道413号線は近い。というように、こうして経路を何回か振り返ってみると、このくらいの経路なら覚えられて当然という簡単さである。この程度であっても、ナビに頼ると覚えられないなんて情けない限りだ。


無事に国道413号線、道志みちに入った。ここまで来れば、もう道なりに進むだけで山中湖に到達できるので、ナビなしでの山中湖到達は達成できそうだ。平日ではあるがゴールデンウィークの間にあるため、交通量は意外と多めで、しばしば車の行列ができていた。流れがあまりに遅いと小休止してから単独で走りたくなるが、流れは遅くないのでまぁいいか、と思っていると、バイクが平然と追い越し禁止区間でも我々を抜いていく。見ると、タンデムで後ろには彼氏に抱きつく女性が。彼氏の運転に酔い痴れているかのような表情が妙に印象に残ってしまったが、追い越し禁止区間で抜いていく彼に付いていって何かあっても知らないぞ。その後も追い越し禁止区間で追い抜こうとするバイク2人組がいたので、人が違反する様子をただ眺めているのも嫌だから、呆れつつも咄嗟に譲ってみたところ、手を上げて礼をされた。悪い気はしないが、ブラインドカーブの多い区間で無理に対向車線に出るようなバイクと共に走って事故に巻き込まれるのは御免なので、譲った後は追わずにペースを落とし、見えなくなるのを待った。

前後に他車のいない状況を自ら作り出して、自分のペースで走ろう。

日頃から安全運転には気を遣っているが、ついにゆったり流すことが最も心地よいと感じるようになってしまった。これは意外なメリットもあって、市街地をのんびり走るだけでも楽しめるようになった。そう、スピードは程々にすると走りやすい。もちろん、頑に制限速度ピッタリで走ることを好むわけではない。道志みちのような山道では、メーターと睨めっこでもしながら走っているのか、制限速度の上下に綺麗に合わせて走る車に稀に遭遇するが、あれは理解できない。


休憩のため道の駅どうしに寄る。この道志みちで唯一の道の駅に寄ることは定番となったが、ゴールデンウィーク中に来るのは初めてで、大変混雑していた。いつもならトイレ付近に停めて終わりだが、かなり奥の駐車場へ通された。少々面倒だなと思っていると、予期せずインプレッサとS660との並びを見ることができた。S660は幌を開けたまま留守になっていて、この車は防犯は望むべくもないと思うと、買うのに相当勇気が要りそうだ。そう言えば、幌が空いた状態は初めて見る気がする。一方のインプレッサは、まさに皆がイメージするインプレッサそのもので、とても大事に乗られているように見受けられた。そして、私の赤の116iとのコントラストもなかなか良いではないか! 白黒銀の車ばかり溢れている日本で、このような並びを見ると何だか嬉しくならないだろうか。

そして、山梨に来ないと味わえないこの空気。山の空気をしっかり取り込んで精神へエネルギーをチャージする。


道の駅を出ると道志みちは残り半分となる。BMWでこの道をじっくり走るのは初めて(友人を乗せて通ったことはあるが走りを気にする余裕なし)で、昨年の同時期に同様にスイフトで走った時と比べると、やはり走りに重厚感がある分、連続するカーブを落ち着いてこなすことができる。スイフトはステアリングが軽いので、ゆったりと走る訳にはいかない。

道志みちも終盤となり、富士山が初めて見える区間に入ると、曇り空というのに富士山がくっきりと見えるではないか。厚い雲が広がっていたので山中湖では撮影タイムを設けるか迷っていたのだが、すぐさまいつもの駐車場へ向かうことに。北側の山中湖畔にある、富士山と山中湖の両方を一度に楽しめる駐車場は案の定かなり混雑している。ちょうど空いていた手前のスペースに停めて外に出ると、なんと隣に並んでいたのはボルボV40とメルセデスCLAだった。拘りの車達が並んでいる様子は実に見応えがある。まるでTop Gearの欧州Cセグメント特集のようで、気分はリチャード・ハモンド? 性格で言えばジェームズ・メイだと勝手に思っているが、身長で言えばリチャード・ハモンド。ジェレミー・クラークソンになるには色々と不足している。

少しずつ山中湖の周囲を走りながら、河口湖方面へ。山中湖村役場に何となく寄ると、花が綺麗に咲いていた。


国道139号線を西へ走っていると、さすがに混雑が激しくなってくる。市街地に出るまでは車線が少ないので、右折しようとする車が一台でもいれば詰まってしまうのだ。道の駅富士吉田付近では、時折制限速度を下回るほど流れが悪くなった。


混雑を抜け、富士浅間神社に。ここはパワースポットとしてすっかり人気になったそうだが、確かに来る度に気分がリフレッシュするので必ずお参りする。駐車場に停めた116iを遠くから眺めると、白黒銀の車の中で一際目立って辺りに華を添えていた。鳥居と共に撮ると、その堂々とした、自信に満ちたかのような佇まいに目が釘付けになった。何と言う格好良さだろうか。


 Part 2 へ続く