2016年8月15日月曜日

ノープランで諏訪湖花火大会へGO

4Dドッペルグループの夏休み企画として草津方面へのドライブを予定していたが、当日になりバーミリオンさんの「諏訪湖花火大会があるよ」の一言がきっかけで行き先を変更することになった。日本でも有数の大規模な花火大会である「諏訪湖祭湖上花火大会」は存在こそ知ってはいたが、意外にも一度も行ったことが無い。ただ、この前後に毎日行われている小規模なものであれば家族旅行で行ったことがあるので、その環境は一応知っている。

あの「ホンモノ」の花火大会の日にちょうど重なったということは、これはもう行くしかないだろう。朝9時、完全なるノープランの長距離ドライブが決まった。

中央自動車道は車間距離が近すぎることにより時折小さな渋滞が発生するが、概ね流れている。甲府を過ぎると混雑は解消するものの、天候が不安定で雨が降ったり止んだりを繰り返した。花火大会は雨天決行とのことなので、それを信じて諏訪湖を目指す。双葉SAでは神出鬼没の東横ドリームさんに驚く。


12時頃に諏訪ICを降りると、国道20号線はじわじわと混雑していた。しばらく走る中でコンビニやレストランが全くと言っていいほど見かけないことに気がつき、地図を見るとこのまま諏訪湖まで渋滞、そしてすぐ真横の道を進んだ先にある霧ヶ峰へ30分で行けるようなので、山の上のレストハウスで昼食をとることにした。

霧ヶ峰、車山高原、美ヶ原といったところは、10年以上前に家族旅行で来た大好きな場所であり、自らの運転でこれまでにないほど近づいたからには、一つくらい寄らずにはいられないのだ。残念ながら、霧ヶ峰が大雨であることと、諏訪湖周辺の道路がかなり混雑していることを踏まえて、今回は車山高原まで行くのは断念した。とは言え、霧ヶ峰高原のスキー場に併設されたレストハウスに着いて車から出た時の素晴らしい空気だけでも、忘れられないほど満足した。山中湖の空気も美味しいけれど、長野の高原の空気の美味しさは群を抜いているではないか。


霧ヶ峰のとあるレストハウスは、花火大会のおかげか客がほとんどおらず、しばらく貸し切り状態が続いた。皆でカレーを注文し、この後の流れについて相談する。まぐまぐさんが諏訪市の運営するウェブサイトから花火大会に関する情報を発見したので見てみると、沿線道路や中央線、各駐車場の混雑状況などについて、非常に詳しく書かれていて驚いた。特に、15分から30分毎に更新という頻度が凄い。この諏訪市の手のかけようには、軽く感動を覚えた。年に一度の一大イベントなのだから当然かもしれないが、ここまで知りたい情報を丁寧にわかりやすく載せている自治体など今まで見たことが無い。

カレーを食べ終わる頃には、外の雨はかなり強まってきて、諏訪湖の状態が気になる。とりあえず、歩行者天国の遥か西にある、まだかなり空いている駐車場を目標にすることにした。

霧ヶ峰を出発する前に、この草原を少しだけ味わう。リフトの横に黄色い花畑が広がっていて、空気は美味しく...雨が強いあまりカメラが心配なので諦めて車へ戻り、出発。次ここに来る時は晴れであることを願って。



諏訪湖に戻る、ちょっとその前に。霧ヶ峰に上る途中、ふとシトロエンBXが停まっているのに気がついてしまったのだ。まさかこんなところで見るなんて! 月極駐車場ではあったが、どうしても間近で見たかったので入らせてもらう。それはもう綺麗な、赤い19TZIだった。偶然にも私が乗ってきたBMWも赤だったので、並べてみる。図らずも大好きなBMWとシトロエンの感動の並びが実現してしまったが、皆を待たせているのですぐに出発する。


国道20号線に戻り、少しだけ車と人の渋滞に耐え、「終末処理場臨時駐車場」に車を停めた。会場まで20分ほど歩かなければならない場所だが、ノープランで来た割には無事に車を停めるところまできたので、とりあえずは安心である。

歩行者天国にたどり着くと、かなりの人ごみに圧倒された。関東から、関西から、色々な人が集まってくるこの場所は独特の雰囲気を感じる非日常的な世界だ。延々と屋台が列を成し、東横ドリームさんは500円玉を握りしめて屋台に吸い寄せられて行くが、私は我慢してコンビニで食料を調達。コンビニももの凄い混雑で、一日だけで一ヶ月分の売り上げを超えるのではないかと思うほどである。


元々は今回のドライブのメインイベントの一つとして予定していた温泉だが、諏訪湖周辺で入ろうと思ったら「花火大会のため営業時間短縮」となっており、仕方がないので上諏訪駅から中央線に乗って隣の下諏訪駅で降り、温泉を探すことにした。ちなみに、中央線では往復とも南武線からはるばるやってきたE233系に乗車。ドライブと一緒に鉄分も補給できるとは。

下諏訪駅を出ると、街は上諏訪駅の混雑が嘘のように閑散としている。まぐまぐさんが温泉を見つけたので歩いて行くと、そこは銭湯だった。いや、見た目は銭湯だが、お湯はまさに温泉なのだ。料金も230円と、予定していた行き先の観光地と比べてあり得ないほどの安さで、石鹸も備わっていない潔さ。しかし、侮ってはいけない。というのは、お湯が今までに体験したことが無いくらいに熱かった! 初めは指すら躊躇うほど熱く感じたが、何とか肩までつかることができた。しかし、5分しかつかっていなかったのにも関わらず、全身が芯からホカホカに暖まっているではないか。この後、下諏訪駅まで戻り、電車に乗って冷房の風に当たっても、まだまだ体はホカホカとしてじわりと汗をかいている。こんなに効果を感じた温泉も初めてであった。


歩行者天国は相変わらずの人ごみだ。一方で、花火が見えそうな芝生の周辺は完全に埋まり、私たちはどこで花火を見ようか迷い続けていた。時刻は18時を過ぎ、開始まで1時間となったものの、場所は決まらない。実は、半数近くの駐車場は午前中に満車になっていて、芝生の明らかに良さそうな場所は綺麗に埋まっている。恐らく多くの人たちはこの花火大会の常連なのだろうと思った。対する私たちは、当日になって行くことを決めた初心者である。そう言えば、都会の花火大会と違い、ここは若い家族やカップルしかいないようだ。日帰りの人たちは、帰りは確実に深夜遅くになるだろうし、気軽に来るのは難しいだろう。

1人1000円の有料席の利用も考えたが、結局、私たちは花火大会のメイン会場から少し西に逸れた橋の上に陣取ることにした。


19時近くになり、花火が始まった。心配された雨も上がり、少し肌寒い中ではあったが、最後のナイアガラまで綺麗に見ることができた。

ここの花火は明らかに多く、そして大きい。昭和記念公園の花火では終盤に見られるような大きさの花火が序盤から次々と打ち上がり、とにかく贅沢な花火大会だ。実はこうした花火大会に来るのは小学生の時以来で、10年以上経っている。すると、絶対に10年前にはなかったはずの新しい花火と思われるものも幾つか見られた。虹のように七色に光が変わる花火や、フラッシュのように素早く瞬く花火などは、今までに見たことはないと思う。意外にも、青い花火が新鮮で印象的だった。

コンビニで買い込んだお菓子を皆で食べ、寒い風に耐えつつ(半袖で来てちょっと失敗したが突然来たので仕方ない)、2時間(!)に及ぶ花火大会を満喫した。山々に囲まれた広い湖に上がる花火と、その音が山に思いっきりこだまする様子は、都会では絶対に味わえない絶好のシチュエーションである。誰もが花火大会のためにこんなに遠くへ来るのには、理由があるのだ。

花火を楽しむ傍ら、私は東京への帰りをどうするのか検討を重ねていた。この混雑だと確実に諏訪ICまで渋滞に巻き込まれるだろう。下手をすると駐車場から出るのにも時間がかかるかもしれない。21時に花火大会を終えて、駐車場まで20分、出発準備に10分、諏訪ICまで1時間、東京まで3時間、途中のSAで休憩を挟むとして...スムーズに行っても午前2時、遅ければ3時や4時となっていくはずと考え、覚悟した方がいいと皆に伝える。

そろそろ終わり、という時になって、そそくさと帰り始める人々が目につくようになる。花火が終わる前に早く帰る人たちは渋滞を避けるためだと思うが、折角ここまで花火大会のためにやってきて、最後まで見ずに帰るというのも腑に落ちない。私たちは最後まで見届けることにした。何故か「ふるさと」をBGMにナイアガラを迎え、初めての諏訪湖花火大会は終わった。

(花火の写真はYouTubeにアップロードした動画からのスクリーンショットです)

さて、ここからが大変である。予想通り、諏訪ICへ向かう大渋滞に私たちは巻き込まれ、ICに着く頃には22時半を過ぎていた。日帰りなのに22時にまだ長野にいる経験をするとは、誰が想像しただろうか。信号が青になった時に1台進めるかどうかというペースには絶望しかけるが、中央自動車道上り線は思ったより空いていて安心したのも束の間、とんでもない豪雨にたまらずペースを落とさざるを得ない状態になる。台風が近づいているからなのかよくわからないが、運転中に遭遇した豪雨としては明らかに過去最高レベルだ。断続的に降りながら大月周辺まで続いた。こんなのは初めてである。

双葉SAで休憩中に午前0時を迎えた。まだまだ先は長いところ、皆が起きていてくれるのが幸いで、私も深夜だというのに眠気はゼロ、買っておいた食料のおかげで空腹も何とか問題なさそうだ。

調布ICまで戻ってくる頃には2時を過ぎていた。順番に皆を家まで送り届け、最後にまぐまぐさんを降ろす頃にはもはや4時近く。車は8時までに返す必要があるので、何時に帰ってくるかどうかで行動パターンを考えておいたのだが、想定としては殆ど最悪に近いパターンを選ぶことになった。一旦家には帰るが、荷物を置いて、寝ずに御茶ノ水まで返しに行くというものである。4時に自宅についたので荷物を最低限にして降ろし、少し休憩してから再度出発することにした。その前に、少しだけ撮影タイムを。

いつも借りているこのBMWは既に最後の一台となっていることから、乗る度に、今回こそ最後のドライブになるかもしれないと考えながら臨んできた。確認したところ車検が9月までのようなので、もうそろそろ貸し出しが終了となってもおかしくはない。そもそも新たな異音や傷、凹みが増えており、ユーザーが集中してこの一台を使うようになってから状態は悪化する一方だ。悲しいが、せめて私はできる範囲で大切に乗ろうと心がけている。ちなみに今回は、ボディが埃まみれだったので洗車機にかけてから出発していた。


4時半になり、空が明るくなってきた。寝ずに24時間ドライブすることになるのは、昨年3月のMINIで伊豆半島に行った時以来だろうか。寝ていないのに相変わらず眠気はどこかに飛んで行ってしまっている。車が好きなあまり、運転を続けている限りは眠くならない。

しかし、さすがに疲労は限界が近づいていたのか、ある交差点を渡る時に信号が青ではなかったような気がした。横の信号が赤になったので正面が青になったはずという感じで車を前に進めたが、通過する際の一瞬、信号が青ではなかったような...ついでに「時差式」の看板もあったような...どうか青だったことを祈るが、一瞬の記憶にはどうも疑問が残る。そもそも、青だったか定かな記憶がないこと自体がおかしい。未だ眠気がない中、さすがに疲労で集中が切れたことに気がつき、すぐに車を路肩に寄せて一旦休む。反省しつつ、残りの数キロのために再び走り始めた。今後はこのようなトラブルが起こらないよう、ハードなドライブは控えるようにしたい。自ら事故を起こすようなことは絶対にしたくないし、車に申し訳ない(最後の最後に嫌な思い出となってしまったが、戒めのために記録する)。


昨日5時に起床してから24時間(!)が経過した5時過ぎ、無事に御茶ノ水に到着した。友人と一緒に花火、温泉と実に濃い一日を過ごし、476.7kmを駆け抜けた。ノープラン、豪雨、疲労の中、本当に無事で良かった。ノープランだったこともあって、一緒に乗っていた3人に色々と助けてもらい、なんだか「皆で完成させたドライブ」という印象を持った。帰ってきた時の達成感は、かなりのものがあった。


おわりに、私のBMWへの想いはこれまでに色々書いてきたが、そろそろ書くことが面倒になってきた。というとこのブログが終わってしまいそうだが、そうではない。「何故それが好きなのか」との質問に対して「だって、それが好きだから」で返したくなったからである。よく、「好きであることに理由など要らない」という言葉を見かけるが、まさにそれかもしれない。今まで「どうしてBMWが好きなのか」を文にしてみては読むのも面白かったが、今の私の文章を書く力では表せていないことがあまりにも多すぎるのだ。

また、自分の好きな車を他の車と比較して、如何に自分の好きな車が素晴らしいかを語る文章は至る所に溢れているが、一々A車とB車を比較することも馬鹿馬鹿しいと感じるようになった。自動車評論の世界はいつも同じような車と車の比較ばかりでうんざりしている。BMWはBMWだし、トヨタはトヨタなのだから、好きなものを選べばいいじゃないか。

BMWが好きだから、黙ってBMWに乗ればいい。私は黙ってBMWに乗る。それだけです。