免許を取ってから房総、富士山、江ノ島とお世話になったヴィッツ。多くの人がそうであるように、免許をとって間もなく運転を学ぶ時に乗る車は普通の車だ。私にとってそれはこのヴィッツであった。しかし他に魅力的な車に乗れるようになったこともあり、今年1月の江ノ島行きを最後に長らく乗っていなかった。
今年1月に乗ったときは、まさかそれ以降乗らなくなるとは思っておらず、マイナーチェンジで顔が新しくなったモデルがレンタカーに配備され始めた最近、この3代目前期モデルにもう一度乗っておきたいと思っていたのだ。トヨタレンタカーは車両の入れ替わりが早く、地元の店舗を見るとヴィッツの殆どは後期型の顔になっているではないか。乗るとなれば、タイムズだな。もしかしたら乗り納めになるかもしれない。そんな気持ちも抱きながら、ヴィッツの元へ。
この3代目ヴィッツは、世間では「チープになった」とか「没個性になった」とか言われて、初代と2代目までの人気はどこかへ行ってしまった。私としては3代目のデザインも好きで、2代目までに比べ奇抜さが薄れた様子は、大人になり落ち着いたものと捉えている。内装もセンターメーターを廃止して普通のデザインになったが、そこが良い。ヴィッツは普通であることが良い車になった。
今回乗るヴィッツは4気筒1.3L。いつもトヨタレンタカーで借りていたのは3気筒1.0Lなので、エンジン音が違う。街で軽く走っている限り、1.0と1.3の違いはよくわからなかった。加速は私の嫌いなCVTだが、色々な車に乗った今改めて乗ると、意外にも滑らかであることに気がつく。穏やかにスルスルと加速するのが気持ちいいので、スポーティさとは無縁な代わりに燃費が良くなりそう。車内に響くエンジン音の音量はあまり差はないが、音質は4気筒の方が上質である。1.0はアイドリング時に結構ブルブルと震えていた記憶があるので、最大の違いはエンジンによる振動かもしれない。
運転した印象を書いてみたが、最も印象的だったのは「運転が面白くない」ということだった。その一番の原因はハンドリングの悪さだ。軽いステアリングを回してもヌルヌルフワフワと回るだけで、それ以上でも以下でも何でもない。ただ回るだけのステアリングを回し交差点を曲がっても、何も感じられない。そんなの当然だろうと言われそうだが、昨年の今頃はヴィッツでもそれほど不満を持たず、それこそ自宅から東西南北をこの車で駆け巡っていたのだ。上を知るとは恐ろしいことである。今の私なら、このヴィッツでアクアラインを通って千葉の鋸山へ行こうとは微塵も思えない。
残念ながら、ヴィッツで楽しくドライブできる時期は終わっていた。全般的にスイフトやMINIの方が良い。上を知っている今、残念ながらヴィッツに戻ることはないと思う。しかしヴィッツは思い出も多く、はっきり言って愛着がある。Bloggerのプロフィール画像は、初めて友人とドライブに出かけた時のものだが、この車もヴィッツなのだ。少し古い車になってしまったな。まだ気軽に乗れる間にこうして乗ることができて良かった。